前回の続きです。
前回の記事では、古賀史健さんの著作、「20歳の自分に受けさせたい文章講義」を参考に、「文章がうまく書けない」「読みにくい文章になる」原因と解決策を解説しました。
今回の記事は、「文章の構成は映画から学ぶ」「文章における自分の主張の重要性」がテーマになります。
- 文章を書くとき、どういう順番で書けばいいのかわからない
- 自分の主張を今まで文章に入れたことがない
方に参考になるかと思います。
文章の構成はどうすればいい?
映画を参考にして構成を考える
古賀さんは、映画やテレビドラマの映像表現を参考にして、文章の構成を考えることをおすすめしています。理由は、それらは芸術性よりも「わかりやすさ」や「伝わりやすさ」「手っ取り早さ」が優先されているから。
この時意識すべきは、カメラの位置と距離と役割です。
1.導入(客観、俯瞰のカメラ)…ここで重要なのは、客観的な状況の説明。今から何についての文章を書くのか、なぜそれを語る必要があるのか、などを客観的な立場から明らかにします。カメラの位置と距離をかんがえてみると、ここでは、はるか上空から俯瞰して対象をとらえている感じです。
2.本論(主観のカメラ)…ここで語るのは、対象への自分の意見や、仮説です。カメラはぐっと近寄り、主観に近いポジションで語ります。自説の補強のために事実をはさむことはありますが、基本的には自分の考えがメイン。
3.結末・エンディング(客観、俯瞰のカメラ)…再び客観的な視点に立ってまとめます。展開した自説を、動かしがたい事実として書きます。
このように、構成はおおきく分けてこの3つで考えるべきとのこと。
また、構成を考えるときにしても、文章を書くときにしても、「カメラワークを意識する」ことが大事だそう。カメラはいま、どこに置かれ、対象との距離感(客観的事実を述べているのか、自分の意見なのか)はどれくらいか、などを常に考えると良いようです。
導入は予告編
導入の役割は、読者を読む気にさせること。これは、映画でいうところの、予告編です。
映画の予告編は、数十秒から1~2分程度の予告編に、映画の見どころを詰め込みつつ、観客の期待をあおり、ネタバレは避けつつ、映画を見に来てもらう。
ですから、導入も同じことをします。読者の期待をあおり、本論まで読み進めてもらうか、を考えます。
- 導入の基本3パターン
1.インパクト優先型…あえて冒頭に読者が「おっ!?」と興味をひくような結論を持ってきます。この一文は長々とつづるのではなく、歯切れよく、短い文章がおすすめ。
2.寸止め型…ホラー映画の予告編でありがちな、「見せない」という手法です。舞台とか、登場人物の説明は行うけど、かんじんの幽霊やなぞ現象の詳細はふせる感じ。後々伝える、最も伝えたい核心部分は読者に想像させます。
3.Q&A型…ブログでありがちなこの型。読者視点のクエスチョンを用意しておいて、それに情報を与えて答えをちょい見せする方法です。内容の詳細に興味を覚えた人は、話の続きを求めて文章を読むでしょう。
自分の主張は絶対入れて
文章を書くことは力の行使
論理的な文章を書くポイントは、「自分の主張をいれる」ことです。
なぜかというと、ですから、何かを伝えたいと思って書いていても、それが明確にされていない場合、読者は「結局何が言いたかったんだ?」と困惑することになるからです。
文章は、自分が有益だと思った情報を伝えて、他者の心、思考、行動を動かすために書くものです。
著者によると、文章を書くことは、他者を動かさんとする「力の行使」なのです。
主張は理由と事実で支える
派手な主張があっても、理由とそれを裏打ちする事実がなければ、理にかなったものにはなりません。
論理的に自分の主張を展開するためには、「主張」「理由」「事実」の3つが求められます。
- 主張…その文章を通じて伝えたい主張
- 理由…主張を訴える理由
- 事実…理由を補強する客観的事実
例)大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい(主張)。なぜなら、平日の昼間に取り組みを行っても、会場に足を運べるファンは限られるからだ(理由)。事実、プロ野球も平日開催のゲームはナイター制をとっている(事実)。
このように、主張、理由、事実の3つがそろっているか、そしてその3つはしっかり連動しているか(主張と理由と事実がそれぞれ別の事を言っていたら意味がないです)をいつも意識しましょう。
細部まで手を抜かない
文章は「面倒くさい細部」を書いてこそ、リアリティを獲得する。というのが古賀さんの意見です。
帰省ラッシュの渋滞について描写するとします。
この時、渋滞の様子を、「延々と続く渋滞だった」と説明しても、何も伝わりません。5キロでも10キロでも、どちらにしたって「延々と続く渋滞」だからです。
ここで具体的な数字を入れても、結局リアリティは生まれません。長さをイメージすることはできても、「渋滞に巻き込まれた人目線」で渋滞を実感できないからです。
一方、「ほとんど動けないままサザンのベスト盤を聞き終えてしまった」というように、運転席で起きている事実を細部にいたるまで描写してみると、むなしく過ぎていく運転席の情景まで伝わります。
まとめ
今回は、「文章はどう構成すればいいか」「自分の主張を入れるべき理由と書き方」をまとめました。
今回の重要ポイントは
- 文章の構成は、映画を参考にするべし!
- 文章を最後まで読者に読んでもらうため、導入は効果的な文にしよう
- 自分の主張は入れよう
- 主張は理由と事実を添えて、細部まで怠りなく書こう
以上の4点です。
次回は、「読者をひきつける文章の書き方」がテーマになります。