早いもので、2023年も、もう12月。受験の季節がやってきました。
受験生のみなさんは共通テストの対策に追われている頃でしょうか?(もう終わってる人もいますね)
私は2年前に受験を終えた大学生ですが、今頃になって、「あの時こうしておけばよかった~」とか、「今持っている知識があれば、もっと結果が出せたかもしれない」などと無駄な思いを巡らせています。
中でも、「もっと力を入れておけばよかった~」と思うのが、睡眠。
高校生って、学校、課題、部活、塾、家での自主勉強があったりして、とにかく忙しいんですよね。(大学生は学部、学科によりますが、平均的には高校生より楽です。受験生の皆さん、あともうちょっとの辛抱ですよ!)
ですが、睡眠不足は私たちに甚大な被害を及ぼします。受験生にとっては、睡眠をうまく取れているかいないかが、合否につながるといってもいいくらいだと思います。
今回は受験生にベストな睡眠時間と、睡眠の質を上げる方法について解説していきます。
- 寝る間を惜しんで勉強している人
- なかなか寝られない人
- 日中眠気が取れない人
は参考にしていただければと思います。
受験生は睡眠不足を避けるべき理由
睡眠時間を削るデメリット
ここでは、夜更かししがちな受験生諸君をわからせるために睡眠不足のデメリットを列挙していきます。
- 睡眠不足は学習効率が下がる…記憶は眠っている間に強化されるため、睡眠不足は学習効率を下げてしまいます。2000年の実験(1)によると、一定の睡眠をとった後テストを受けると、睡眠前と比べて格段に点数が上がったそうです。逆に睡眠不足の人は、新しいスキルを身に着けるスピードが著しく遅かったとのこと。
- 睡眠不足で感情のコントロールが下手になる…2005年の実験(2)によると、睡眠不足はネガティブな感情を増幅させ、気分や脳の認知機能を損なうことが分かりました。小さなことにもイライラしてしまうようになるそうです。受験の頃ってみんなピリピリしがちですが、睡眠不足が関係しているかもしれませんね。
- 睡眠不足がうつ病と不安を引き起こす…先ほどと同じ、2005年の実験(2)によると、睡眠不足の人ほど、うつと不安の傾向が高く、自尊心も低い傾向があるそうです。
- 睡眠不足で風邪をひきやすくなる…2009年の実験(3)によると、1日の睡眠時間が7時間以下の人は、そうでない人に比べて、風の発症率が3倍も高かったそうです。受験期に風邪をひいては元も子もないですよね。(私は高校受験の時、風邪をひいて鼻水を垂らしながら試験を受けた記憶があります。汚い話でごめん)
- 集中力、判断力、学習意欲が低下する…慢性的な睡眠不足は精神機能の低下を起こします。それによって、脳は十分なパフォーマンスが発揮できず、集中力や判断力が落ちてしまうそう。また、脳に疲労をためたままになるので、負担のかかる学習意欲も低下してしまうそうです。
これらは勉強に直接関係する悪影響で、睡眠不足そのものの悪影響はまだまだあります。肌がボロボロになったり、太りやすくなったり、心臓病やがんのリスクが上昇したり…ほかにもいくつかありますので、気になる方はこちらを参照してください。
いずれにせよ、集中力、意欲、学習効率、感情コントロールなんかは受験を成功させるうえでマストな要素なので、「睡眠不足は受験生の大敵」というわけですね。
睡眠をたっぷりとるメリット
以上のデメリットから、受験生が睡眠をたっぷりとることで得られるメリットを簡単にまとめてみると…
- 集中力、判断力、記憶の定着が促進されて、学習効率が爆上がりする
- 学習意欲が向上することで、勉強を続けやすくなる
- 感情のコントロールがききやすくなり、不安やイライラなどといった、受験期あるあるなメンタル悪化を防げる
- 免疫力が上がることで、何もしなくても風邪予防になる
これらのメリットを享受できます。また、受験には直接関係ないですが、睡眠には悩み事解決に役立つというメリットもあります。脳が寝ている間に記憶を整理してくれるからですね。学校生活はどうしようもない人間関係トラブルの連続。睡眠は学生の最良の友といえるでしょう。詳しくはこちら。
受験生に理想の睡眠時間と方法
理想の睡眠時間
結論から申し上げますと、最適な睡眠時間というのは一概には述べることができません。
国立精神・神経医療研究センターの研究者さんが執筆に関わった、「8時間睡眠のウソ。」という本によると、個々人に最適な睡眠時間を数値化するのは非常に難しい事だそうです。巷ではよく、7~8時間がいいなどといわれていますが、あくまでそれは目安で、人によってはそれでは足りない場合もあります。
ですので、今回ご紹介する自分のベストな睡眠時間を調べる方法は、日本人に最も多いとされている7時間半を基準にして、以下の睡眠チェックポイントをもとに判断する。というものです。
ベストな睡眠がとれたか判断する4つのチェックポイント
- 目覚まし時計をセットしないと起きられない。または、目覚ましをかけないといつもより遅い時間に目が覚めてしまう。
- 目が覚めてベッドから出るのに苦労する(頭がぼーっとするくらいならセーフ)
- 週末、いつもより長く寝てしまう
- 日中ずっと眠たい
これらの4つのうち、いずれかが当てはまる方は、今の睡眠時間が自分にとって適切ではないことが分かります。逆に、いずれにも当てはまらない方は、今のままで全然大丈夫ということです。
当てはまった方は、
1.毎日の睡眠時間を計る習慣をつける。(床に就く時間と朝起きた時間から計算するだけでok)
2.7時間から8時間ほど睡眠をとってみる。
3(パターン1).チェックポイントに当てはまらなくなった場合、そのくらいの睡眠時間がベストだとわかる。
3(パターン2).まだ当てはまるという人は、さらに睡眠時間を延ばしてみる。(だいたい30分ずつくらい)
4. 3(パターン2)に該当する人は、睡眠時間が分かるまで、チェック→睡眠時間を延ばすというサイクルを続ける。
このように睡眠時間を延ばす→チェックポイントをチェックするというサイクルを繰り返すことで、理想の睡眠時間が探せると思います。(この逆の過程、睡眠時間を短くする→チェックポイントをチェックするというのもやってみてもいいかもしれません。さらなる効率化が図れます。)
いささか面倒な作業ですが、睡眠時間の把握は睡眠の改善のための第一歩ですので、辛抱してやってみてください。
ただ、ここで問題が生じる方もおられるかと思います。
それは、「睡眠時間を延ばし続けても、一向に4つのチェックポイントがクリアされない」という人達です。
こういった場合はどうすればいいのでしょうか。その解決の鍵は、睡眠時間ではなく、睡眠の質にあります。
あなたの睡眠の質を計ろう!
睡眠は量も大事ですが、質も欠かすことはできません。一晩で10時間眠ったって、常に眠りが浅ければ、睡眠不足も同然です。こんなの、タイパ最悪じゃあないですか。
ですので、ここでは睡眠の質を計るのに欠かせない、「睡眠効率」の判断方法をご紹介します。いくら睡眠時間を延ばしても眠気が収まらない方に特におすすめです。
睡眠効率を計るのに必要な情報は以下の3つのみ。
- 就寝から起床までの、ベッドに横たわっていた時間
- 寝付くまでの時間
- 夜間、目が覚めている時間
例を挙げると、ベッドの上で合計7時間過ごし、この時、眠りにつくのに25分かかったり、さらに夜に1回目が覚めて、もう一度眠りにつくのに25分かかったとします。このケースでは、睡眠効率は以下のように計算します。
- まず、実際に寝ていた時間を計ります。 総睡眠時間(420分)-[入眠までの時間(25分)+夜間の覚醒時間(25分)]=実際に寝ていた時間(370分)
- 実際に寝ていた370分を、総睡眠時間420分で割ります。 370÷420=0.88(88%)
- 答えとして得られる、88%が、このケースの睡眠効率です。
このように、実際に寝ていた時間を総睡眠時間で割るだけです。この数値が、85%以上であれば、睡眠の質はいい感じだそうです。
85%に届かなかった方も、心配は無用です。
数値にとらわれて不安になる方が睡眠にとっても悪いですし、これからご紹介する方法でいくらでも睡眠の質は上げられます。
ちなみに、「自分が寝るまでの時間なんて分かんねーよ!」という方は、以下のアプリがおすすめです。
睡眠の質を改善する方法
ここからは、睡眠の質の改善に役立つ情報をまとめていきます。先ほどの睡眠効率を上げたい方、睡眠をもっとよくしたい方にオススメです。
- 毎日、同じ時間に寝床に入り、同じ時間に起きる。
- 8時間睡眠にはこだわらなくてよし。先ほど紹介した方法で自分に合う睡眠時間を調べてください。
- できれば、日中30分ほど昼寝する(※30分以上寝ると夜の睡眠に悪影響を及ぼすので注意!)
- 午後9時以降はなるべくスマホ、パソコンは控える。
- ブルーライト対策は徹底する。夜にスマホを使う場合は、ブルーライトカットの機能を活用する。(iPhoneはNight Shiftを活用)
- 日中、太陽の光を最低でも15分は浴びる。1時間浴びられれば最高。
- 寝室は徹底的に暗くする。苦手な人以外は、完全な暗闇になるように環境を整える。
- たき火や鳥の声など、リラックス効果のある環境音を流す。
- 就寝の6時間前にはカフェインと完全にカット。夕食は就寝の3時間前まで。運動は就寝の2時間前まで。勉強や仕事などのストレスのかかる作業もできれば2時間前までに控えたいですが、これに関して受験生は別に無理しなくていいのではないでしょうか。睡眠にこだわりすぎて勉強をおろそかにしていたら本末転倒ですし。
これらが睡眠の質を上げる方法です。すべてを実践するのは難しいと思いますが(かく言う私も全然できてません)良さげなものがあれば、やってみてください。
まとめ
受験生は睡眠が大事だよ!という主張とその根拠、睡眠改善法を長々と述べてきました。
今回の重要なポイントは、
- 睡眠不足は脳のパフォーマンスを下げる、メンタルを悪化させるなど、受験に悪影響ばかり
- ベストな睡眠時間は、4つのチェックポイントを活用して判断すべし!安易に7時間、8時間と決めつけない
- 睡眠は量のみならず、質も大事
- 日中の活動、睡眠前の習慣、睡眠環境を整えて、睡眠の質を上げるべし
この4点です。
受験生、特に大学受験生は本当に忙しく、睡眠管理は杜撰になりがちです。
しかし、もしあなたが睡眠に本気で向き合い、改善のための取り組みを行えば、他の受験生と差を生むことになります。たいていの高校生(中学生、小学生)は睡眠の事なんか丸きり頭にない訳ですし。
睡眠を改善することはメリットだらけです。受験のみならず、その後の人生においても役に立ちます。
少々の面倒は受け入れて、睡眠の質改善に取り組んでみれば、受験の結果もより良いものになるかもしれません。
みなさんの受験が悔いのないものになるよう、健闘を祈ります。