その長い歴史の中で、人は、誰かと結婚し子どもを産むことは当然と考えてきました。
しかし、今の時代、面白いことに(※大学生)、googleで恋人と入力すると、サジェストのけっこう上の方にに「めんどくさい」 「いらない」という言葉が並んでいます。日本では、この風潮はとくに20代、30代くらいの人達に強いように思います。
「そのような時代の流れは何で起こっているのだろう?」をテーマにした記事(a)を読んで、このトピックが非常に面白いと思ったので、今回は、「そのような風潮がなぜ広まっているのか」、そして「現代において結婚や恋愛は人生にどんな影響を与えるのか」をまとめます。
世界に広がる、「フラティズム」とは?
フラティズムは中国で出現した、今トレンドの哲学です。
フラティズムを簡単に説明すると、「寝そべるように、ゆったりと平たんに生きる」という思想傾向です。
これは元々、中国の、日本と比べ物にならないくらいに過酷な競争社会と、厳しい労働環境への抗議運動の意味合いを持っていました。
その思想に共感し、それをライフスタイルとして実践する人々のことを、日本のニュースでも話題になった、タンピン族(寝ころび族)といいます。「資本家に搾取されることを拒否し、最低限の生活を維持する」をモットーに彼らは最低限の所得と消費で暮らし、最低限の消費の実現のため、恋愛、結婚といった、負債やストレス源になり得る人間関係も人生からそぎ落とします。
こう聞くと修行みたいですね。ただ、あくまで一つのライフスタイルとして、無駄な消費とストレスを抑えた、健康的、QOL高めな生活を目指しているらしいです。
この思想とライフスタイルは2021年にSNSを通じて拡散され、中国の若者たちに共感を呼びました。
そして、この思想は今や日本や韓国や、マレーシアなどの東南アジア諸国にも浸透しつつあります。
この動きに並行して、近年結婚しない独身者が若年層の間で世界的に増加傾向にあるとのことです。全世界を見ても、今の時代、多くの人の価値基準やライフスタイルが変化しつつあるようです。
ここまでの流れをまとめると、「恋愛を必要としない若者たちの流行は、中国発祥の「フラティズム」がSNSで拡散されているために起こっている」ということです。
恋愛は私たちにどんな影響をもたらす?
ここまでで、なぜ「恋愛=めんどくさい」の流れが浸透しつつあるのかをまとめました。
ここからは、2つの研究結果から、現代において恋愛は私たちにどんな影響をもたらすのかを考えていきたいと思います。
結婚=幸せではない?
ここでは、現代社会において結婚と幸せが必ずしも結び付くとは限らないのでは?というテーマで行われた調査をご紹介します。
この研究はカリフォルニア大学サンタバーバラ校の社会学者で、20年(20年!?)にわたって独身について研究してきた、ベラ・デパウロさんの調査結果です。
- 現代では独身の方が人づきあいが豊か…研究の結果によると、既婚者は配偶者や子どもを生活の中心に置くことが多く、これが人間関係の低下につながりやすいとのこと。一方で、独身者は既婚者よりも友人や家族(兄弟や両親)との交際が多い傾向にあります。
- 現代では独身の方が健康的…先ほど述べたように、独身者の方が多様な人間関係を持っていることが多いため、精神的に健康であることが多いです。また、独身の人の方が個人的な成長と発達を遂げるという研究結果もあります。確かに、独身者は孤独なため健康を壊しやすいという意見もありますが(日本ではこっちの方が一般的?)、ほとんどの人は健康で、独身者ほど早期死亡率が高いという傾向はみられなかったそう。
これらの研究結果から分かることは、「価値観の多様化が進む現代社会においては、結婚と幸せは必ずしも結びつかない」ということです。
恋愛経験の少ない人たちは優秀!?
ここでは、恋愛経験の多さがその人の能力と関係しているのか?がテーマの研究の結果をまとめます。
これはジョージア大学の研究で、高校2年生594人を対象にした調査(2)です。2003年から2009年まですべての生徒を追跡調査し、全員に「過去3か月の間に誰かと親密な関係を結んだことがある?」と質問するという壮大な研究です。ついでに彼らのコミュニケーション能力、リーダーシップの高さ、メンタル状態もチェックします。
なんでこの研究をやったかというと、デートしてない10代って本当にやばいやつらなの?という問題意識があったからだそう。日本でもこんな風潮ありますよねー。良くないと思います(被害者)
その結果、もっともソーシャルスキルとリーダーシップの能力が高かったのはまさかの、7年間のうちにまったく、あるいはほとんどデートをしたことがないグループと分かりました。
加えて、このグループの人の方が抑うつのスコアも低く、ネガティブな感情も経験していないことが多いとのこと。
研究者らは、「今の世界では、それぞれに多数の選択肢を持っている。交際がないからと言って社会に適応していないとは限らない。」と述べています。
以上、2つの研究結果から、
- 現代において、恋愛、結婚の経験は必ずしも人生に良い影響を与えるとは限らない
- 恋愛を経験は社会性とは全く関係がない
ことが分かりました。これらのデータを見ていると、おひとりさまで気楽に生きるのもいいような気がしてきます。
まとめ
今回大事なポイントは、
- フラティズム(起伏のない平坦な人生をよしとする思想)が若者の恋愛離れを引き起こしている
- 結婚や恋愛をすることは今の時代においては必ずしも幸せとは言えない
- 恋愛に疎い人は能力的に低いわけではない
以上の3点です。
現代において、恋愛はもはや必須のものではないのかもしれません。
ただ、このような流れも、覆しがたい社会格差や、競争を強いる社会構造、厳しい労働環境などの、現代社会的のネガティブな側面から生まれたものだと考えると、少し悲しい気持ちになります。確かに、日本も我々の祖父母、父母世代と比べると、大分希望の見えにくい社会になっていますし。
未来に絶望して投げやりになる気持ちもわかりますが、注意すべきは、1つの思想に傾倒することは時として悲劇を生みかねないということです。
今や全世界的にもなりつつあるこの恋愛だるいの流れ。ですが、あくまでそれに飲まれることなく、客観的に自分を見て自分にとって最良の判断していけるようになりたいですね。