アメリカABCニュースの有名キャスター、ダン・ハリスさんの著作『10%HAPPIER』という本を読みました。
この本は、ニュースキャスターとして活躍しているダン・ハリスさんが、瞑想を用いてパニック障害を克服し、さらに瞑想法を追求する様を描いた自叙伝です。
この本の魅力は、
- 宗教家でも、医者でもないハリスさんの実際の経験がもとになっているので、言葉に誇張がない
- 瞑想経験者あるあるの悩みとその解決策が書かれているので、痒い所に手が届く
ところです。
この本は、
- 瞑想のやり方がよく分からない
- 瞑想の効果が全く実感できない
- 瞑想にはどのような効果があるのか知りたい
- パニック障害克服に向けて、瞑想を試してみたい
- 実際にパニック障害を克服した人の意見を参考にしたい
方にオススメです。
今回の記事では、『10%happier』の大まかな内容と、「瞑想とは何なのか」「瞑想の効果」「瞑想のやり方」「あるあるの悩みとその解決策」をまとめます。
ダン・ハリスとは?
ハリスさんは、ABCのニュースキャスターとして、おおむね不自由のない、順風満帆の人生を送っていました。
地方のテレビ局員から全国的人気番組のキャスターへの大出世。その後、世界中の紛争地、歴史的な事故現場(911テロの中継にも参加したそう)を駆け巡り、刺激的なニュースを届けていました。
そんなハリスさんでしたが、ある日、番組の途中でパニック発作を起こしてしまうんですね。
これがその時の様子。
そして、パニック障害を発症した後、ハリスさんは、精神科の先生にカウンセリングを受ける傍ら、ニュースキャスターならではの、解決策の模索に乗り出ます。それは、自己啓発系の大家や、高名な僧侶、精神科医に次々とインタビューを行う、とうものでした。
そんな具合に、いろいろインタビューしていく中で、ハリスさんは瞑想に出会います。
その後、瞑想合宿やメンターとなる精神科医との出会いなどを経て、ハリスさんはパニック障害を克服し、さらには、瞑想について理解を深めていきます。
詳細なストーリーが気になる方は、ぜひ、書籍を手に取ってみてください。(読めば、題名「10%HAPPIER」の由来も分かりますよ!)
ここからは、この本から学べる、そもそも瞑想は何をするのか、瞑想にはどんな効果があるのか、どうやればいいのかを解説していきます。
ハリスさんに学ぶ、瞑想法
瞑想とは厳格な脳のエクササイズ。
呼吸に意識を向ける努力をすることで、脳の暴走を抑えるトレーニングです。由来は数千年前のインド。悟りを開くために行われていたようです。
瞑想の驚くべき効果
- ストレス軽減…瞑想をしていると副交感神経が活性化されるので、リラックス効果があります。サウナなんかに近いですね。頭がすっきりする感覚がして、この状態に達するだけで、日々のストレスを軽減する効果があります。
- メタ認知力向上…この本の中では流れ落ちる瀧の裏側に入るという禅的な比喩で語られています。後術していますが、瞑想とは気づきのトレーニング。とにかく自分の変化を観察するもので、続けていくうちに、ネガティブな感情が消えるわけではない(重要)ですが、自分の状態を距離を置いて冷静にみられるようになれるそうです。この本でも、ハリスさんがそれを実感していました。瞑想を続けているとくよくよ悩みにくくなるとのこと。
- 集中力up…瞑想は集中力、かつ、継続力を要するもの。しかし、そこにはやはり報酬があります。それは、日常生活の中でも呼吸に意識を向けられるようになり、目の前のことに集中しやすくなることです。
- 生産性、創造性を高める…これは条件付きですが、一日のうちに何度か、マインドフルネス休憩(本書では目的ある小休止と呼ばれています)を取り入れて脳を休ませてやることで、創造性、生産性が上がるそうです。やり方は簡単。仕事の合間に数秒でもいいので何も考えず、呼吸にのみ集中する時間を作るだけ。
- 悟り…本書では、「悟りに近づくと集中力が極限まで高まり、内外のわずかな機微も知覚するようになって、やがてエゴや自己そのものが実在しないことに気が付く。」と述べられています。そうすると、人間は一切の苦から解放されるとか。残念ながらそう簡単なものではないようですけど。ただ、本書の最終盤で、科学者のジャド・ブルーワーという方が悟りの到達が科学的な見地からも可能であることを示唆しています。そこは今後の研究に期待ですね。
瞑想のやり方
ここでは本書に記載されている瞑想マニュアルの中から、個人的に大事だと思った瞑想の基礎的なやり方にコツを添えて、まとめていきます。
- 楽な姿勢で座る 転んでいても、座っていても、立っていても、本格的なやつでも。好きな姿勢で初めてOK。ただしどんな姿勢であっても、背筋はまっすぐ伸ばすように気を付ける。
- 呼吸に意識を向ける 鼻先、お腹、胸、鼻腔、自分が意識を置きやすいところに場所を決める。あとは「吸う」「吐く」に全神経を集中させる。
- やり直す 私達は瞑想の中で、何百回、何千回と余計なことを考える。これは避けられない。なので、その都度、優しく呼吸に意識を戻す。その時、自分を責めるのではなくて、許し、また一から始める。これが瞑想のすべてといっていいほど基本的で重要なことであり、最も難しいことでもあります。瞑想に取り組む人は、このことをよく覚えておかなければなりません。
瞑想経験者あるあるの悩みと解決策
瞑想経験者あるあるの悩みと、解決策を、本書を参考に解説します。
- 全然集中できない、上達している感じが全くしない…これは本当に誰もが陥ります。解決策は、「ただ最善を尽くし、目の前にあることと一体になること」です。「訳分かんねーよ」と思うかもしれませんが、いい気持になれるか、恐怖や心配が無くなるか、は実は瞑想では重要ではない。だから、とにかく呼吸に集中することのみ考えようね!ということでしょう。
- 心が乱されること、大きく気の散ることがある…解決策は、「心の中で自分の状態を実況してみること」です。嫌なことが思いうかんだら、「嫌な気持ちになっている…」、足がかゆくなったら、「足がかゆい…」と心の中で唱えてみましょう。ポイントは、嫌な感情や感覚をなくそうとすることではなく、観察に徹すること。ですから、本当に足がかゆくてたまらないときは掻いてもOK。
- モチベーションが続かない…解決策は、「毎日決められた時間に、少しでもよいので瞑想に取り組むこと」、あるいは、「瞑想仲間を作って、だれかと一緒に瞑想する時間をつくること」です。オンラインで指導してくれるところもあるみたいで、そういったものを活用するのも良し。
まとめ
- 瞑想は脳のトレーニング。
- 瞑想によって冷静、客観的に自分を観察できるようになる。
- 背筋は伸ばしつつ、楽にして、呼吸に意識を向ける。気が散ったら何度も注意を呼吸に向ける。
- 結果を求めず、ただ今を観察する。瞑想は不安を完全に消し去るものではない。
今回は「10%happier」の内容をまとめていきました。瞑想についての理解を深めたくてこの本を手にしたのですが、自伝も本当に面白くて、実りある読書になりました。
瞑想について学びたい方はぜひ。