私たち20大学生世代が小学生の頃、週刊少年ジャンプで連載されていた「ニセコイ」という漫画が人気を博していました。
残念ながら女子人気はゼロに等しい(今思えば何となく理由は分かる)作品でしたが、クソガキだった私たちは楽、千棘、小野寺(敗れるべくして敗れた悲しきヒロイン。多くのファンと同様、私も彼女を襲った悲劇に落胆と憤りを感じずにはいられませんでした。)の恋愛模様に心躍らせていました。
そんなニセコイですが、最終的に結ばれる(ネタバレ注意、必要ないかもですけど…)楽と千棘はわりと正反対の性格です。凡庸で平和主義な楽と、頭脳明晰、運動神経抜群、男勝りで勝気な千棘。
このニセコイの例のように、ラブコメには正反対の2人が惹かれあい、結ばれる展開が星の数ほどに存在します。最近私が見たものだと、金曜ロードショーでやってた「タイタニック」。
しかし、そんな「自分と正反対の人に惹かれる説」を2023年8月に発表された、コロラド大学ボルダー校の研究が覆そうとしています。
研究者らはいったいどのような結論を導き出したのでしょうか。
記事の後半では、研究によって分かった、最適な恋人を選ぶ方法についてご紹介します。
自分と真逆の人に惹かれあうことってありえるの?
コロラド大学の心理神経科学部門および行動遺伝学研究所の研究者らは、惹かれる相手とその類似性に関して、大規模な研究を行いました。
過去100年以上にわたる、数百万のカップルを含んだ約200件の研究結果から、22の特徴をメタ分析し、類似性の有無について調査したのです。(これは大変だったでしょうね~)
さらにダメ押しで、英国の約8万組のカップルについて、あまり研究されることのない特性を含む133の特性の類似性も研究したそう。
これらには、婚約中のペア、既婚のペア、同棲中のペアを含んでおり、同性のカップルは含まれていません。最古の研究は1903年のものだそうです。(!)
その結果、なんと分析した特徴の82%から89%において特徴が類似している可能性が高いことが分かりました。もうほとんど同じじゃん。
また、どちらの分析でも、政治的および宗教的態度、教育レベル、IQなど特定の尺度などの特性が特に高い類似性が示されました。これらの特徴が全く異なっていると、そもそも話が合わなそうですしね。
薬物使用に関する特性も高い類似性を示しており、ヘビースモーカー、アルコール中毒者、禁欲主義者は、同様の習慣を持つ人々と強く惹かれあう傾向にありました。駅前のパチンコとかにたむろしているカップルを眺めていると、この傾向は何となく腑に落ちます。
身長や体重、病状、性格は上記の者と比べてそこまで高くはないですが、依然として類似性がみられました。
一方で、外向性などの一部特徴については、まったく類似性がみられなかったとのことです。内向的か外交的かは恋愛にはあまり関係しないというのは私のイメージと離れた結果でした。ちょっと意外。
ただ、真逆の2人が惹かれあうケースもまれに存在するとのこと。
それは、「朝型人間、夜型人間」の特性、心配性、難聴の3つの要素で、説得力のある証拠はないものの、これらの要素は、相手は反対の特性を持つことがちらほら見られるそうです。
当然といえば当然ですが、カップルの最も類似性の高い特徴は、生まれ年だったそうです。まあそうですよね。
以上、この研究から、恋愛においては、真逆の2人が惹かれあうことより、似た者同士が惹かれあうことの方がはるかに多いよ!ということが分かりました。
私は正反対の2人が惹かれあうことはあるあるだと思っていた上、その方が逆にうまくいくのでは?とさえ感じていたので、びっくりな結果でしたね。
研究者らも言及していますが、同じような学歴、知能を持つパートナーと組む人が増えれば、社会的経済格差がますます拡大する可能性が高いので、ちょっと良くないかも?と思ったりしますね。
恋愛学に学ぶ、理想の相手を見つけるために必要なこと
ここからは、豆知識として、この新しい研究内容(2)を参照して理想の相手を見つけるにはどうしたらいいのかをまとめていきます。
相手を選ぶときに私たちが用いる4つのレンズ
今回の研究では、恋愛学の先生たちは、「恋愛候補評価理論(Mate Evaluation Theory)」という判断方法を提唱しておられます。これは、過去数十年にわたる恋愛の研究を調べて、私たちが相手を評価する際の視点を理論としてまとめたものです。では、さっそく見ていきましょう。
- 共通レンズ…同じ文化圏やグループに属する幅広い人間が共有する判断基準。日本では、「筋トレしてない男子の方がいい」という意見の方が優勢なのに対し、アメリカとかでは「筋肉の多い、強そうな男子がいい」という方が優勢であるように、文化や宗教ごとに理想像は異なります。異性に対し好ましいと思う基準に応じて相手を決めるパターン。まあある程度は生物学的に決まっているそうですが。
- 知覚レンズ…個人の性格、自尊心のレベル、拒絶への恐怖、恋愛遍歴などをもとにした基準のこと。陽キャな性格の人は面白さを相手に求めるかもしれないですが、ちょっと陰気味な人はそれをうっとおしいと思うかもしれません。顔が良ければそれでいいという人もいっぱいいます。そんな、私たちが持つ特性によって相手を決めるパターン。
- 特徴レンズ…いわゆる「好みのタイプ」と呼ばれるもの。特定の特徴に対する自分の好みで形成されます。かっこいい、かわいいにも数多くの種類があります。それは人それぞれ決まるもので、ある人にとっては「かっこいい」でも、また別の人にとっては「キモい」になったりしますよね。
- 対象特化レンズ…特定の相手と共有する特別な経験によって、相手を決めるパターン。漫画の最終回のあたりでキャラクターが一様に恋に走る「最終回発情期」もこのパターンといえるでしょう。
「付き合ってみたらなんか違う」が発生する原因
では、ここからは恋愛候補評価理論から、付き合ってみたらなんか違う現象を考えてみましょう。
研究者曰く、相手を選ぶうえで役に立つ視点は先ほど紹介したように4つもあるのに、たいていのケースで、付き合う相手を決める際に「特徴レンズ」(好みのタイプ)ばかりに注目してしまっているとか。
そのように他の要素を考えていないのでいざ付き合ってみると…
- 文化的価値観(文化というと大げさに聞こえるが、日常で起こりがちな掃除、洗濯、食事などの些細な差も含まれる)が違って、「こいつ無理」となります。(共通レンズの欠如)
- 思っていた以上に自分の性格と合わずに、「こいつ無理」となります。(知覚レンズの欠如)
- 話の話題がなさ過ぎて、「こいつ無理」となります。(対象特化レンズの欠如)
ではどうすればいい?
では、どうすればいい?ということで研究者らが出した答えは…
正しい相手を選ぶために、いろんな視点から評価してください
ということでした。(そりゃそうだ)
ですが、これが意外と意識していなければ難しいので、判断方法を詳しく見ていきましょう。
- まず初めに、共通レンズから評価します。文化的に分かり合えるのか。生活スタイルが全く合わないものではないか、社会的な関心は似ているかなどです。
- 次に、知覚者レンズを深堀します。自分の性格はいったいどんなものなのか。性格から考えて、相手はどんな人なら相性がよさそうかなどを考えます。恋愛においてこの性格(すぐ他人のせいにするとか、後先考えず自分の思っていることを言ってしまうとか)は直しておいた方がいいなというものに行きついたら、まずはそこを変えていきましょう。
- その次は、特徴レンズです。自分のタイプはどんなのか。どんな人と恋愛したいかを考えます。
- 最後に、対象特化レンズです。相手と共有するストーリーがあるか。同じ趣味とかがあったら考えやすいですよね。
このように段階的に考えていくと、失敗しにくいとか。とはいえ付き合ってみないとわからない部分もあるので(というか付き合っても相手のすべてを理解するのは不可能?)、些細なところは何とか互いに譲歩して解決したりしていくしかないんでしょうけれどね。恋愛って難しいなー(恋愛m…)
まとめ
「自分と真逆の人に惹かれがち」という通説は間違っているのでは?をテーマにした研究と、最適なパートナーの選び方をご紹介しました。
今回の重要ポイントは、
- 好きになる相手の82~89%の要素は自分と似ている
- 異なるタイプが惹かれるケースはほとんどない
- 人は恋人を「共通レンズ」「知覚レンズ」「特徴レンズ」「対象特化レンズ」の4視点で選択する
- どの視点からも偏りなく検討することで理想の相手を見つけられる
以上の4つです。
世間では、「真逆の相手の相手こそ案外好きになる」とか、「正反対のカップルの方がうまくいく」というイメージがありますが、後者の方は断定できないとはいえ、それらは幻想にすぎないのかもしれません。結局、私たちは似た者同士で寄り合うものらしいです。
また、自分と似た者の中でも、理想の相手を見つけることはとてつもない難易度です。今回紹介した考え方ですべてが解決できるわけではないと思います。ですので、そんな考えがあるんだーみたいな感じで豆知識程度に認識してもらえれば幸いです。