「左利きは天才」は嘘だった!?|左利きに関する様々な調査と見解をまとめました

皆さんは右利きでしょうか。それとも左利きでしょうか。

私は、文字を書いたり、ボールを投げたり、楽器を扱うのは左手で、箸を使ったり、握力が強いのは右手の、いわゆる交差利きという一番意味わからないやつです。

ですが、そんな私も鉛筆を持つのが左手ということで、「左利きの人」としてこれまで生きてきました。なぜかというと、小学校、中学校、高校、大学どこでも、皆の前で見せる機会が一番多いのは、左手で文字を書く場面だからです。

そんなわけで「左利き」として認知されるようになった私ですが、不満かと言われれば全くそんなことはありませんでした。理由は、左利きというだけで「頭がいい」、「特別だ」と思われる可能性が高かった(と自分が思っていただけかもしれない)からです。むしろ左利きと周りに思われることに快感を感じていました。

しかし、最近になって左利きについて色々と調べてみたら、良いニュースに混じってなんだか嬉しくない調査結果も多く存在することが分かってきました。

「天才」「創造的」と言われる左利きですが、それは真実なのでしょうか。

目次

左利きは天才というけれど…

脳外科医は「左利きは天才」とおっしゃる

一番初めは割とハッピーな見解のまとめ。

『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』という本を執筆された、脳外科医の加藤俊徳先生は、「左利きは天才」とおっしゃられています。加藤先生は現在世界中で使われている脳活動計測fNIRS法を発見した、すごい方です。

加藤先生の主張によると、左利きは…

  • バランスの良い脳の使い方をしている右利き用の社会に適応するために、左利きは常に工夫の連続。そのため脳が活性化するとのこと。これは説得力のある話だなー。
  • 「最適解を出す習慣」が身についている…左利きの子どもたちは、周りのやり方をそっくりそのまま真似するだけでは上手くいきません。扱う手が違うので、「右手だとこうだから、反転するとこう。だから左手でやるならこう動かそう」といった感じで、特にスポーツや文字の書き方などの習得において、右利き以上に考えることが多い。実際、そのような思考をしているときは前頭葉が大きく動いているとのこと。
  • 左利きは感受性が高い…これは人によって良し悪し捉え方が変わるかもしれませんが、左利きは繊細な人が多いそう。なぜかというと、先ほど同様、左利きは右利き主体の社会に適応するために、意識を向ける範囲が広くなりがち。改札を通るときも、意識して右手でタッチしなければなりません。そのため、右利きの人以上に多くのことに注意を向けられるようになるとか。

加藤先生がおっしゃる3つの要素をまとめると、左利きは「右利きと比べてより複雑な脳の使い方をしているため、創造的だったり、感受性の高い人が多いですよーということ。どれも説得力のある、左利きの人たちからすれば、自己肯定感の上がる内容だったと思います。しかし注意なのは、どれもデータに裏打ちされたものではなく、あくまで先生の推論がベースになっているところ。信憑性が高いわけではないかも。

続いては、このようなハッピーな見解に反した、嫌になる調査結果のまとめです。

左利き天才説を打ち砕く見解たち

左利きは年収が低いし、認知機能も劣ってる

これはハーバード大学の研究から得られた4万件以上のデータを調べて、左利きと年収、認知機能の関係を調べた調査(1)です。

なんとその結果、左利きは右利きよりも10%~12%も年収が低かったそうです。この結果について研究者は、「左利きは右利きよりも認知機能が低く、感情の波が激しい。また、学習障害を患う確率が高い」とのこと。ボロクソすぎるだろ。

また、アリカンテ大学で行われた研究(2)では、利き手と性格の関係を調査しています。この結果、左利きの人は全体的に「調和性(人を喜ばせたり尽くすことが好み、自分より他者の成功を優先しがち)」が高い傾向にあることが分かりました。ちなみに2012年の研究で、「調和性が高い人は低収入の傾向あり」と分かっています。

このことから左利きは、「温和で他の人を優先しがちな性格の人が多いため、年収が低い傾向にあるのでは?」とされています。まあ優しいんならいいか。

左利きは精神疾患を患う可能性が高い

さらに不穏なことに、2013年のイエール大学の研究で左利きは精神疾患を患う可能性が高いことが示されています。

これは都市部の低所得地域で医療を求めている公立精神外来患者107人を対象に行った研究で、その結果、10%という、米国の左利きの人の割合に対し、統合失調症または統合失調感情障害の患者の40%が左利きであったことが分かりました。ちなみにうつ病や双極性障害は同じくらいの割合だそうです。

まあ、この研究は非常に規模が小さいですし、断定はできませんが、もしかすると左利きの人は右利きの人よりも精神疾患にかかる確率が高いのかもしれません。

偉人には左利きが多いというけれど…

アメリカの大統領は、左利きが多いとされています。実際過去6人のうち、4人が左利きとのこと。これは統計的にみても優位に思えますし(先ほど書いたように米国の左利き率は10%)、「やっぱり有名人は左利きが多いのでは?」とも思えますが、欧州はそうでもないようです。

「ピカソは左利き」とうのもネットのデマで、実際は右利きだそうです。

相対性理論のアインシュタイン、「叫び」のムンク(「ムンクの叫び」ではないですよ!)、彼らもまた、左利きと言われがちな右利きの人々です。

ゴッホ、バッハ、ベートヴェン、モーツァルトなどは、有力な証拠がないにもかかわらず、左利きとされています。日本の左利き偉人の中にもこのような事例は多そう。

このように、「偉人に左利きが多いのだ!」といっても、それは証拠の不確かな情報だったり、デマだったり、一部分の身を切り取った、偏りのある統計の可能性があります。

そんな感じで見ていくと、「偉人は左利きが多い」というよくある主張も、あまり有力なものとは言えないように思えます。

まとめ

左利き天才説の真偽を探りました。

今回の重要ポイントは

  • 左利きは右利きより考えることが多いので想像力の高い、感受性の強い人が多い、かも。
  • 左利きは右利きと比べて年収低くなりがち。理由は温和な人が多いから
  • 左利きは精神疾患を患う可能性が高いかもなので注意
  • 「有名人に左利きが多い」はあまりあてにならない。

以上の4点です。

左利きに関する嬉しくない調査結果が多めでした。加藤先生の話もそれっぽいんですが、誰か調査してくれませんかねぇ。(もうあるかも)

まあ、こんだけいろいろ探ってきたわけですが、一番大事なのはこんな利き手ごときに感情を乱されないことです!(まとめたのは私ですが…)

年収が低いときは左利きのせいにして、「自分天才じゃん!」と思った時には左利きに感謝。

こんな調子で頑張りましょうや。

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