「ちょっとしたことですぐイライラする…」「人間関係や、将来のことで不安を感じる…」「今の自分への不満や、焦りの気持ちがある」
そのような悩みを抱えている方は多いと思いますが、負の感情はうまく対処しないと、パフォーマンスの低下や心身の不調につながります。
負の感情やストレスは、遺伝子レベルで老化を進めることも分かっていますし、対処法は知っておきてたいところです。
そこで、今回の記事では、先日読んだ本『サーチ・インサイド・ユアセルフ-仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』の内容を参考にして、「感情をコントロールする方法」をご紹介します。
『Search Inside Yourself』は、グーグルでエンジニアとして成功した後、マインドフルネスのプログラムをグーグルに広めたチャディー・メン・タンさんの本です。この人は、TEDで講演を行ったり、ホワイトハウスで講演を行ったり、ノーベル平和賞にノミネートされたりと、世界的に高名な方です。凄いですねぇ。
この記事は、
- すぐに感情的になる自分を変えたい
- 負の感情を対処する方法を知りたい
- 起こっていないことで不安になってストレスが溜まる
方にオススメです。
負の感情をコントロールする方法
知っておきたい4つの基本
ここでは、負の感情をを感じたときの基本的な心構えを4つご紹介します。具体的な対処法を実践する際にはこれらの基本原理を意識しておくと、より効果が得られるでしょう。
- 痛みがない時を知る…怒りや焦り、不安などを感じたとき、だれでも嫌な気持ちになるものですが、それは常に感じているわけではありません。苦しい時間は時に永遠のように思えますが、どんな人でも、それらを感じていない瞬間が必ずあります。リラックスできる瞬間、一緒にいると楽しい人、没頭できる事が自分にあることを知っておくと心に余裕ができます。
- 嫌になることを嫌にならない…負の感情を感じることに嫌にならないように意識しましょう。なんだか難しい文章ですが、噛み砕いていうと、「負の感情を完全に無くしたい!」と躍起になったり、「こんな感情を感じている自分は間違っている」と自己否定しないほうがいいぞ!、ということですね。心当たりのある人は、最初は難しいですが、少しずつ、今回紹介するトレーニングを通して自分を受け入れられるようになるといいです。
- エサをやらない…負の感情を増幅させる思考をなるべく行わないように意識していきましょう。負の感情を感じたときに、「こんな気持ちは間違っている、無くさないと…」と考えたり、嫌な場面を何度も繰り返していると、大抵悪化します。経験のある方もおられるのではないでしょうか。「考えないようにする」というのもなかなか難しいことですが、思い出す都度、意識するようにしてみてください。
- 優しさとユーモアをもつ…自己否定ばかりしていると、思考が反芻して事態が悪化することがあるので、優しさをもって自分を慰めることも大事。さらに、ユーモアを持てるとネガティブな経験をポジティブな形で生かせるようになります。いきなり性格を変えるのは難しいですが、日々の生活の中で少しずつ、意識すると良さげ。
自己認識をトレーニングしよう!
ここでは、具体的に負の感情をコントロールするために必要なことを解説します。
まず、「負の感情をコントロールできる」とはどういうことか。結論を申し上げると、それは「自己を客観的に観察できる状態」です。
「客観的に観察できる」とはつまり、「負の感情を感じても、それに動じることなく、冷静に対処できる」ことですね。
なお、その状態に至るまでには3つの段階を経る必要があります。
- 情動の知覚…自分の情動(怒りや不安、悲しみなどの一時的ながら強烈な負の感情)を知って、それが心身にもたらす影響を知る
- 正確な自己査定…自分の長所と短所、価値観や唯一性を知る
- 自信…自分の価値と能力を実感する
この3段階をまとめて「自己認識」と定義されています。
まとめると、「自分がどんな場面で、どういう風に感じて、体はどう反応するのか」「自分の長所短所や、価値観は何か」「自分はどんな価値や能力を有しているのか」を理解できれば、負の感情をコントロールできるようになる!ということです。
自己認識をトレーニングする2つの例
前提として、自己認識能力というのは、筋肉と一緒で鍛えることができます。「ジムにいって筋トレすることで筋肉を鍛えるように、心は…」というたとえはよく聞くと思いますが、自己認識も同じ。ここでは2つの手法をご紹介します。
- ボディ・スキャン…リラックスしながら、部分ごとに自分の体へ意識を向けていくトレーニングです。「情動の知覚」の段階に最適!
やり方
- 注意を集中…リラックスして呼吸に注意を集中させる
- 体をスキャンする…頭から顔、首、肩、腕、胸、背中、内臓、脚と順番に注意を向けていく
- 情動をスキャンする…体の中の情動があれば、注意を向ける。どうにかしようとせず、ただ観察する。
- リラックスして瞑想をやめる
- ジャーナル…私が以前いじめの記事に書いた、「書きなぐり法」と同じものです。これは情動の知覚、正確な自己査定どちらの段階でもオススメ。
やり方
- テーマを決める…何を書くか決める。過去の嫌な体験についてでもいいし、自分の長所、短所についてでも、何でもいい。
- とにかく書く…文章のうまさ、起承転結などは気にせず、心に浮かんだ考えや感情をひたすら書いていく。
- 捨てる…書き終わった紙(もしくはデータ)は捨てても良し。
なお、本には、これらの手法やその他の瞑想法がもっと詳しく書かれているので、気になる方は読んでみてくださーい。
パニックになった時の対処法
ここまでの話で、感情をコントロールするためには、自己認識能力を鍛えると良いことが分かりました。
しかし、自己認識能力は一朝一夕に鍛えられるものではなく、地道な訓練が必要とのこと。
では、普段の生活の中で、感情が抑えられなくなった時、私たちはどう対処すればいいのでしょうか。
シベリア北鉄道で対処する
普段の生活の中で、負の感情が湧いてきてどうしようもなくなった時の対処法が、この「シベリア北鉄道」という珍妙な名前のテクニックです。
その手順は以下のとおり。
- STOP(止まる)…不安になったり、イライラしたりしたら、いったん考えるのを止めてみる。意識してぼーっとする。
- BREATH(呼吸する)…意識して深呼吸する。息を吸って吐く秒数を数えてもいいし、ただ深呼吸するだけでもいい。3回以上繰り返すとなお良い。
- NOTICE(気づく)…体の変化に気づく。「頭が熱いなー」とか、「鼓動が速くなってるなー」といった身体反応をぼんやり眺める。元に戻そうとせず、ただ観察するのがポイント。
- REFLECT(よく考える)…原因を探る。なぜこのような感情が湧いてきたのか、理由を建設的に考える。
- RESPOND(反応する)…解決する。原因を探ったことで、今この瞬間に自分がどう行動するのがベストか見えてくるはず。(※ここでは解決と書いてあるんですが、別に解決できなくてもいいと私は思います。とにかく、いま何をするのが最善か考えて行動するのがここでの要かと。)
負の感情が湧いてきて、冷静じゃなくなってきたときに活用してください。私もこのテクニックは重宝していますねぇ。
まとめ
今回の記事では、「感情をコントロールする方法」をまとめました。
今回の重要ポイントは
- 負の感情をコントロールするために、基本の4つの心構えを知っておこう
- ボディスキャンや、ジャーナルで自己認識能力を鍛えて、感情をコントロールできるようになる!
- 普段の生活の中で、パニックになった時は「シベリア北鉄道」だ!
以上の3点です。
感情をコントロールが難しいな、と悩んでいる方の参考になれば幸いです。