先日、古賀史健さんの『20歳の自分に受けさせたい文章講義』という本を読みました。
古賀さんは『嫌われる勇気』で有名な作家さんです。(『嫌われる勇気』の世界累計発行部数は1000万部越えだそうです!信じがたい数ですね)この本は、そんな古賀さんがライターとして活動する中で見つけた、文章を書くコツが網羅されています。
具体的には、「読みやすい文章とは何か」、「文章の構成はどうすればいいのか」、「読者をひきつける条件はなにか」、「文章はどのように編集するか」がまとめられています。小手先のテクニックとかではなく、文章の基本に焦点が当てられている感じですね。現役のライターさんが書いた本なので、地に足のついた、説得力のある内容でした。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』は、
- 文章がうまく書けなくて悩んでいる
- 自分のイメージどおりに文章が書けない
- 文章の構成を学びたい
- 現役の作家が何を考えながら文章を書いているのか知りたい
方におすすめです。
今回の記事では、「文章がうまく書けない」「読みにくい文章になる」原因と解決策をまとめます。
なぜ文章がうまく書けないのか
うまく言葉にできない頭の中のイメージ
文章がうまく書けず悩んでいる人は多くいます。頭の中では上手く書けそうなのに、いざ書いてみるとなぜかしっくりこない。それはいったいなぜなのでしょうか。
古賀さん曰く、文章がうまく書けないと悩んでいる人たちには
- 文章を書こうとすると、固まってしまうタイプ
- 自分の気持ちをうまく文章にすることができないタイプ
この2つのタイプが存在するとのこと。
前者は頭の中のイメージが整理できないままになっている状態。こういったタイプの人は、自分の思考を整理せぬままに文章を書こうとするため、そもそも書く前に固まってしまうそうです。
一方、後者は、イメージを翻訳する技術が足りない状態とのこと。
なぜ読みにくい文章になるの?
文の意味そのものが間違っている訳ではないのに、論理がおかしかったり、文字がびっしり詰まっていたりして、リズムよく読めない文章ってありますよね?
いわゆる、「読みにくい文章」というやつです。自分の文章を後になって読んでみたら、すごく読むのに疲れたなんて方もおられるのではないでしょうか。(私もよくこうなります…)
では、「読みにくい文章」とは、いったいどこが問題なのでしょうか。
結論を述べると、「読みにくい文章」になるのは「文章のリズム」が悪いからです。
そのリズムを作り出すのは主に
- 視覚的リズム
- 聴覚的リズム
- 論理展開
この3つです。
視覚的リズム
視覚的リズムとは何か、解説します。
視覚的リズムとは、
- 句読点「。」の打ち方
- 改行のタイミング
- 漢字とひらがなのバランス
で決まります。
- 句読点「。」の打ち方…視覚的リズムからみた、句読点の役割は「文字と文字の間に物理的スペースを作り、見た瞬間に文章の切れ目をわからせる」というものです。
文章を書く上では、だらだらとした、圧迫感のある文章とならないために、文章の切れ目を意識しながら、1行につき1つ以上句読点を打つのが良いとのことです。
- 改行のタイミング…読者は大抵、文章を読むより先に見ます。ですので、改行のないまま10行、20行と段落が続くと、圧迫感が出て読み飛ばされがち。
ですから、最大5行をめどに改行した方がいいとのこと。
改行は伝えたいメッセージを強調する役割もあるので、そこも意識した方がよさそうです。
- 漢字とひらがなのバランス…改行、句読点と同様に、漢字とひらがなも視覚的リズムを左右します。これらのバランスがどちらか一方に偏っていたら圧迫感を生じさせ得るからです。ひらがなだらけの文章も読みづらいし、漢字だらけだと堅苦しい。
具体的に何文字につき何文字漢字、みたいな配分はありませんが、見づらくならないよう、注意が必要みたいです。
聴覚的リズム
聴覚的リズムとは、自分の文章を音読することで確認できるリズムの事です。具体的には、
- 読点「、」の位置
- 言葉の重複
この2点です。
- 読点「、」の位置…文章を書いているときは、読者がどこをどう誤読するかは想像がつきません。自分の文章ですから。そこで、音読を用いて読点の位置を確認します。
自分の意図する文章の切れ目にきちんと読点が入っているか、チェックした方が伝わりやすい文章になるでしょう。
- 言葉の重複…文末(例.~です。の後に、また、~です。という文がくる)接続詞(例.そして~、そして~。といった重複)、言い回し(例.~というが何回も出てくる)、副詞(例.とても~、とても~。)のような言葉の重複は、音読をしていると案外見つかったりするそうです。これもリズムをそこねてしまいがちなので気を付けたいですね。
論理展開
この本では、論理展開とは文と文のつなげ方の事を指します。文と文がうまくつながっていないと、リズム悪く見えてしまいます。ですので、最も意識すべきは接続詞の使い方です。
古賀さん曰く、論理破綻に気づくために接続詞を使うべし!とのこと。
なぜなら、接続詞が入るかどうか考えることは、文と文の関係性や必然性を考えることにつながり、そのようにして書いた文を再考することで、論理破綻に気づきやすくなるからです。
無理に多用する必要はありませんが、文と文の間に接続詞が入るかどうか、考えると良さそうです。
美文より正文をめざそう
古賀さん曰く、文章について考える上で大事な意識は、「美文より正文を目指す」ことだそうです。
なぜなら、「美」とは主観的なものであり、そこにこだわりすぎると、独りよがりで、エゴ全開な気持ちの悪い文章になりがちだからです。加えて、文章の本質は「伝えること」であり、そのためには客観的な視点をもって相手につたわる正しい文章を考える必要があるからです。
まとめ
今回は、「なぜうまく文章が書けないのか」と「なぜ読みにくい文になるのか」をまとめました。
今回の重要ポイントは
- 文章がうまく書けない人は、頭の中のイメージが整理できていない状態
- 考えるために文章を書こう!
- 読みにくい文章は、文章のリズムが悪い
- 文章のリズムは、論理展開の仕方、視覚的リズム、聴覚的リズムで決まる
- 美しい文より、正確に相手に伝わる文をめざそう
以上の5点です。
次回は「文章の構成は映画に学ぶ」「文章における主張の重要性」がテーマになります。